アサイド

人生は水の如し

水は高きから低きに流れ、水滴を集めて大河に至らしめる。
その力強さの秘密は蛇行にあります。
蛇行しているからこそ勢いがあります。

長い年月をかけて大地すら変えてしまいます。
人はこの流れと勢いを留めようとダムを造り堤防をつくってきました。
水は適当に流れているわけではありません。

ある種の意思を持ちながら流れているのです。
その流れを人為的に変えることによって自然界のリズムを壊しているのです。
水は自然界の場の主です。

水は生命の源です。
水はある時は個体になり、ある時は液体になって姿を変えていきます。
さらに気体となって姿さえ見せなくなります。
まさに自由変化の妖怪です。
川の流れは時の流れに似ています。

どちらも絶え間なく変化を繰り返しています。
流れの速いところ、遅いところがあり、一様に流れているわけではありません。
時代の流れも急激に変化を繰り返しているところと、変化もなく淀んでいるところもあります。
川の蛇行のように、人生も紆余曲折を経験しないと大成しないのと同じです。
一時の名声や権力さえも時の流れに押し流されてしまいます。
人は大自然の手のひらで泳いでいるにすぎません。
その大自然の場を司っているのが水です。
渓流に大きな石を置いて、流れを変えたと慢心しているのが人間です。
人生とは何かを深く洞察することによって、水の本質が見えてきます。
老子はいみじくもいった
「上善如水」と。

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