過去の記憶は、あなたの解釈によってつくられている
脳の中の記憶はあなたの人生そのものです。
記憶には感情が伴っています。
その感情は事実に関係なく、あなたがつくりあげた記憶です。
私の知人からこんな話を聞きました。
「私の友人で母親を生涯憎んでいた男性がいました」
こんな切り出しから話が始まった。
なぜ自分の母親なのに、その男は生涯母親を憎んでいたのか、その理由を
知人は私に語り始めました。
小学校4年生の頃、その男性は「勉強しなさい」と母親に怒鳴られて
手の甲をコンパスでブスリと刺されたそうです。
それ以来、大人になっても母親を憎み続けていたというわけです。
男性はやがて結婚をして幸せな家庭を築きました。
我が子が小学校4年生になったころ、あまりに勉強しないので
父親である男性は、自分の息子を厳しく叱り、手にしていた
竹製の物差しで息子の頭を叩きつけました。
息子の頭は二つに裂けて血が噴き出しました。
我が息子を激励するために頭を叩いたのですが、手元が狂い面の部分
でなく縦の線で叩いてしまったのです。
その瞬間に母親のことを思い出したのです。
「もしかしたら母親も手元が狂って手の甲を刺したのではないか」
そう思うといてもたってもいられなくなり、その足で何十年も会っていない母親のもとに駆けつけたそうです。
「あのとき、どうして俺の手を刺したんだ」と詰問した。
母親は目に涙を浮かべながら
「可愛い我が子をコンパスで刺すわけがないでしょう」
「手が滑って手の甲に当たってしまったのだよ」
「おまえに一生恨まれながら、母さんは死んでも死にきれない」そんな思いで毎日過ごしていたと。
そして涙ながらに何十年ぶりの息子を抱きしめた。
誤解が解けたその夜、時間も忘れて親子は語り合いました。
そのとき、はじめて本当の親子に戻れたのです。
この物語(実話)のように
あなたの過去の記憶は、あなたの解釈によってつくられているのです。
あなたはいつだって過去を変えることができます。
もちろん幸せな思い出に…
あなたの記憶は、あなたがつくった物語だから−。