不完全なものへの憧れ
古来名人と言われた人々の作品は不完全さを持っています。
完全なものを仕上げる腕を持っているからこそ不完全さを
表現できるのです。
不完全さは未来への可能性を秘めています。
しかし、完全なものはそこから衰退していくことを知っているからです。
敢えて不完全さの中で無限の創造性を表現しているのです。
「不完全の完全」こそ、最高に高められた名作と言えるでしょう。
お釈迦様も、「本当に完全なるものは不完全である」と説いています。
名作と愚作は似て非なるものです。
愚作はどこまでも愚作であって名作になる可能性はゼロに近い。
本来求道者にとって悟りは終着点です。
なのに悟りを得た修行僧でさえ、なおも修行に勤しんでいます。
その姿こそが悟りの人なのでしょう。
悟りを得たと豪語する人に悟った人など誰もいません。
人生は不完全なものです。
だからこそ人生に生きがいを感じることができるのではないでしょうか。
完成された人生などきっとつまらないものだと思います。
そういえば不完全な人に何がしの魅力を感じるのは、未来に可能性を
秘めているからでしょうね。
人間は本来不完全な生き物です。
人間が完全なる生き物であれば、世界は終わりに近づいていること
を暗示しています。
真に愛すべき人は欠点だらけの人です。
なぜなら明日に向かって人間らしく生きてるからです。
「不完全の完全」とは含蓄のある言葉のように思われますね。